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塩害よる劣化と補修方法

塩害のメカニズム

鉄筋はセメントから供給される多量の水酸化カルシウムにより コンクリートはpH12以上という高いアルカリ状態に保たれています。 これにより鉄筋は不導体被膜という薄い酸化化合物の被膜で覆われ、錆びません。 しかし、塩化物イオンがコンクリート中に存在すると、 この被膜は破壊され、錆び始めます。

初期塩分と外来塩

塩化物イオンはなぜ発生するのでしょうか? 発生原因としては「初期塩分」と「外来塩分」があるといわれています。 まず「初期塩分」は、海砂がセメントに混じっているものや かつてセメントの硬化促進剤として使用された 塩化ナトリウムがなどが考えられています。 また、「外来塩分」は、潮風や、海水、凍結防止剤として 撒かれる塩化ナトリウムなどが考えられます。 鉄筋は塩分があるとすぐに錆び始めるというものではなく、 発生限界量を超えなければ腐食しません。 このことから考えると、 塩分濃度が変化しない「初期塩分」より、 時間の経過と共に濃度が徐々に高くなる「外来塩分」の方が コンクリート劣化の大きな原因となります。

塩化物イオンによる劣化

塩化物イオンによるコンクリート劣化はどのように進行するのでしょうか? 外部から供給される塩化物イオンは、コンクリート表面から 徐々に内部へと浸透し、浸透した塩化物イオンは、 鉄筋を保護している不導体被膜を破壊し、錆びはじめます。 そして、鉄筋は錆びることによって膨張し、コンクリートに ひび割れを生じさせ、錆びやすい状況をさらに作り出し、 剥離、剥落などの危険な状態へと急速に進行していきます。 そしてこの塩害による劣化は従来の工法で補修しても 再劣化してしまうというケースが多く、補修効果も 短期的にしか期待できませんでした。

腐食電流と電気化学的工法

コンクリート中の鋼材に腐食が発生したとき、鋼材には 腐食を生じている部分が陰極(-)、健全部分が陽極(+)となり、 電位の高い方から低い方へと腐食電流が流れています。 この電流に着目し、抜本的に塩害劣化を解決する補修工法として 最近注目の工法が「電気化学的工法」です。 この工法には腐食電流を消滅して鋼材腐食を防止する「電気防食工法」と 通電してコンクリート内部の塩分を除去する「脱塩工法」の2種類があります。

脱塩工法、擬性陽極工法

「電気防食工法」は、腐食電流を消滅させ続けることが必要ですから、 防食電流を常に流し続けなければなりません。 通電方法には、電源装置を設置してコンクリートに通電する「外部電源方式」と 亜鉛などの金属を陽極材として使用し、電位差によって防食電流を供給する 「流電陽極方式」があります。 「外部電源方式」の耐用年数は20-25年程度、 「流電陽極方式」の耐用年数は、電源が要らない代わりに 陽極材自体を消耗するので耐用年数は10-15年といわれています。 擬性陽極材として代表的なものは、デンカガルバシールドXPがあります。 「電気防食工法」は、鉄筋の腐食反応そのものを防止するので、 コンクリート自体に損傷がなければ、内部に劣化因子が 残留していても大きな問題にはならず、鉄筋防錆処理や、表面保護も不要です。 一方、「脱塩工法」は、鉄骨を陰極として、コンクリート表面に陽極材を設置、 そこへ直流電流を流し、塩素イオンを電解質溶液に移動させるという コンクリート内部から塩分を除去し健全な状態に戻す工法です。 施工後は外来塩分による再汚染を防止するため コンクリート表面に保護処理をします。

正しい判断と抜本的な解決工法

いずれにしても塩害によるコンクリート劣化は、 他の原因の劣化に比べ非常に急速に劣化が進んで行き、 危険な状態に陥りやすく、抜本的な解決方法が少ないというのが特徴です。 従来の工法で阻止できなかった、コンクリートの再劣化も、 電気化学的工法なら、ほぼ抜本的に解決でき大変有効ですから、 まずは、コンクリート劣化の原因を正しく判断し、進行速度を見極め、 抜本的な補修を早期に行うことが大切です。 代表的な工法としては、電気防食工法の擬性陽極材を使用する 「デンカガルバシールド工法」や脱塩工法の「デソリート工法」などがあります。

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